【専門家が解説】国際結婚をした人が離婚した場合の国籍とは?

2025-10-27

日本でも国際結婚が増えてきました。また一方で、離婚する夫婦も増加しています。ここで疑問なのが、離婚した後の外国人の国籍をどうなるのか、ということです。ここでは、国際結婚をした人が離婚した場合の国籍について、ご説明します

国際結婚は文化・価値観の違いからトラブルに発展するケースも多く、離婚に際しては「在留資格」「国籍」「子どもの親権」の3つが特に問題となります。単なる婚姻解消では済まず、在留の根拠が失われる点に注意が必要です。

国際結婚と国籍

日本国籍を持つAさんと外国籍を持つBさんが結婚をして、日本に住む場合、Bさんは「配偶者ビザ」を取得することができます。但し、この「配偶者ビザ」を持ったからと言って、日本国籍を取得できるわけではありません。Bさんは、あくまでも日本人であるAさんと結婚したに過ぎず、国籍はそのままです。

もし、BさんがAさんと同じ日本国籍を持ちたい場合には、「帰化申請」を行い、日本国籍の取得を認めてもらうしかありません。

帰化申請には、5年以上の継続的な日本在住や安定した生計、素行の善良性など、複数の厳格な条件があります。結婚しているだけでは自動的に帰化できず、別途審査を経る必要がある点は誤解しがちな部分です。

離婚後の手続き

もしBさんがAさんと離婚した場合は、離婚から14日以内に、最寄りの出入国在留管理局に、届出をしなければなりません。

離婚後に、Bさんが直ぐに本国へ帰国する場合には特に問題ありませんが、引き続き日本に在留したいと考えている時には、一定の手続きが必要です。

まず、現在の「配偶者ビザ」から「定住ビザ」へ変更する必要があります。但し、以下の条件を満たしていないと、許可のハードルは高くなります。

 ・実態のある結婚生活が3年以上あった。

 ・離婚した後も、日本で生活できる資産や技能を持っている。

特に就労能力や日本語力の有無は重要視されます。職業訓練校や企業での勤務実績があれば、生活基盤があると判断されやすく、ビザ変更が認められる可能性が高まります。

実態のある結婚生活とは、実際に配偶者と同居して、生計を一にしていたということです。従って、婚姻期間が3年以上あっても、本国に帰省している期間が長かったり、日本にいても別居したいたりした場合には、条件に当てはまりません。

また、離婚した後も、日本で仕事に就くことができ、独立して生計を営むことができなければ、条件に当てはまらないことになります。

なお、自分の子どもが未成年であり、日本国籍を持っていれば、「定住者ビザ」が認められやすい傾向にあります。特に、次の条件を満たす必要があります。

 ・日本人実子の親権者である。

 ・今後実態的に、子どもの監護や養育を行う予定である。

 ・相当の期間、子どもの監護や養育を行っていた。

 ・今後の生活を維持できるだけの資産や技能を持っている。

 ・犯罪歴がない等、素行が善良である。

日本人の子どもを持つ場合、親権や監護の実態が重視されます。形式的に親権を持っていても、実際に育児をしていないと判断されれば定住資格が認められないこともあります。家庭裁判所の判断内容も影響することがあります。

離婚後の国籍

離婚後の国籍についてですが、離婚したBさんが離婚前に日本国籍を取得していた場合には、引き続き日本人として、日本に住むことができます。離婚したからと言って、現在の日本国籍を失うことはありません。

一方、Bさんが日本国籍を持っていないで、外国籍のままだった場合には、先程ご説明した手続きが必要になります。もし「定住ビザ」の取得が難しい場合には、他の在留資格の取得を検討する必要があります。

なお、離婚後6ヶ月経過すれば、通常「配偶者ビザ」は取り消しになりますので、早急に日本にそのまま住むのか、本国に帰国するのか、またそのまま住むのであれば、どの在留資格を取得したら良いか等を決める必要があります。

在留資格を失ったまま日本に滞在すると「不法残留」となり、将来的な再入国にも影響するため、離婚後の早い段階で専門家に相談することが望まれます。入管専門の行政書士に相談するケースが多いです。

まとめ

国際結婚をした人が離婚した場合でも、現在持っている国籍が変更されることはありません。外国籍の方は、日本に引き続き住むか否かの選択を迫られることになります。もしそのまま日本に在留する場合には、「定住ビザ」や他の在留資格を取得する必要があります。

離婚後の在留は「婚姻の事実」ではなく「生活実態」と「社会的信用」で判断されます。国際結婚から離婚に至った場合も、早めに入管へ届け出て、自分に最も適した在留資格を検討することが大切です。


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