【分かりやすく説明します】永住権から国籍変更の流れ

永住権とは、日本にできる権利です。一方で、外国人が日本の国籍に変更できる手続きもあります。この2つは、どこが違うのでしょうか?また、永住権から国籍変更までの流れや要件を詳しくご説明します。

永住権と国籍変更

永住権とは、その名のとおり「外国人が日本に永住することができる権利」です。

例えば、外国籍を持つAさんが、就労系のビザによって、日本で働いているとします。そして、Aさんが、10年以上日本に在留し、さらに5年以上在留資格を持っている等の要件を満たせば、「永住許可」の申請を行うことができます。そして、許可されれば、いわゆる「永住権」を持つことができるのです。

そうなると、それまでの在留期間の制限はなくなります。また、職業についても、基本的に制約がなくなります。つまり、日本人と同じような生活を送ることができるということです。

しかし、永住権を持ったからと言って、国籍は変わりません。国政選挙での選挙権、被選挙権はありませんし、社会保障制度を受けることもできません。あくまでも国籍はそのままで、日本での永住が認められるということに過ぎません。

永住権から国籍変更の流れ

永住権を持つ外国人が、国籍の変更(日本国籍の取得)を行う場合、次のような流れになります。

先ず、申請者本人の居住地を管轄する法務局・地方法務局に行き、必要な書類を確認します。但し、事前に予約が必要です。なお、法務局によっては、2ヶ月先まで予約が取れないこともありますので、早めに予約を入れた方が良いでしょう。

次に、法務局で指示された書類を集めます。申請者によっては、100枚以上の書類が必要な場合もあります。その中で、取得に時間がかかるのは、母国の書類です。日本の大使館で収集できる書類もありますが、母国に帰らないと収集できないものもありますので、計画的に行動する必要があります。

それから、申請先の法務局で申請書等を入手し、必要事項を記入します。申請書や履歴書等、約10枚前後の資料を作成することになりますが、他の証明書類との整合性が取れていない場合は、許可が下りない可能性がありますので、十分注意する必要があります。

申請書、必要書類が揃ったら、法務局で点検してもらいます(予約が必要)。点検の結果、不備がなければ、申請が受理されます。

受理から3~5ヵ月経過した頃に、法務局から連絡が来ます。申請者は法務局行き、提出した書類に関する疑問点、過去や現在の状況等に関する質問に答えます。なお、日本に住む配偶者等の家族がいる場合は、一緒に面接が実施されます。

書類審査と並行して、法務局の職員から申請者の勤務先、学校等に在籍確認の電話が入ることがあります。また、場合によっては、実際に自宅等に訪問することもあります。

そして、法務局の担当者が国籍取得の要件を満たしていると判断すれば、書類が法務省に送られ、最終的に法務大臣によって許可、不許可の決定がなされます。

国籍変更のための条件

永住権を持つ外国人が、国籍の変更(日本国籍の取得)を行う場合の要件は、次のとおりです。

先ず、引き続き5年以上日本に住所があり、そのうち3年以上就労経験があることです。また、申請者が18歳以上であって、能力の準拠法である本国法でも、成人年齢に達していることです。

さらに、素行が善良であることが求められています。また、申請者本人または生計を共にする配偶者、その他の親族の資産や収入によって、今後生計を営むことができることが必要です。

また、申請者が国籍を有せず、または日本国籍取得によって現在の国籍を失うことに同意していることも要件です。

日本国憲法、またはその下で成立した政府を暴力で破壊することを企て、あるいは主張し、またはこれを企て、もしくは主張する政党その他の団体を結成したり、これに加入したりしていないことが必要です。

最後に、基本的な日本語能力も必要です。

上記の要件のうち、永住権を持つ外国人は、1つ目の条件が満たされている場合が多いと思いますが、その他は、他の在留資格を持つ外国人と大差ありません。つまり、永住権を持っているからと言って、他の外国人よりも簡単に、国籍変更ができるということではないと言うことです。

まとめ

永住権と国籍変更は、根本的に異なります。永住権を取得するハードルは、他の在留資格よりも高いですが、国籍変更はそれと比べられない位に厳密です。費用も時間もかかりますので、計画的に行う必要があります。


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