【専門家が詳しく解説します】未成年は国籍変更できるのか?

日本に在留する外国籍の方は、一定の要件を満たせば、日本国籍に変更することができます。要件の中には、「成年でなければならない」とありますが、未成年の人は手続きすることができないのでしょうか?

国籍の変更とは?

国籍の変更とは、今までの国籍を喪失して、新たに国籍を取得することです。

世界には、複数の国籍、いわゆる「二重国籍」を認めている国があります。しかし、日本では「二重国籍」は認められていませんので、新たに日本国籍を取得した場合は、今までの外国籍を喪失することになります。

日本に在留する外国籍の人が日本国籍を取得するには、通常「帰化申請」の手続きを行います。

帰化の要件

帰化申請によって日本国籍を取得するには、次の6つの要件が必要です。

1つ目は、申請の時までに、日本に継続して住所を置いているということです(住所条件)です。但し、日本に住所があって、申請前の5年の間に、海外で長期間滞在していたような場合には、この条件に該当しない可能性があります。

2つ目は、申請者が成年(18歳以上)ということです(能力条件)。また、現在国籍を持つ国の法律においても、成人でなければなりません。

3つ目は、税金を滞納していない、刑事罰を受けたことがない、重大な交通違反を犯したことがない等、素行に問題がないことです(素行条件)。

4つ目は、申請者本人や生計一にする配偶者等の親族の資産・技能によって生活することができるということです(生活条件)。特に、申請者、親族に資産があり、生活を営むことができるための技能・資格があれば有利になります。

5つ目は、申請者本人に国籍がない、または日本国籍を取得することで、現在の国籍を失うことに同意しているということです(重国籍防止条件)。

6つ目は、日本国憲法、憲法の下で成立した政府に対して、暴力で破壊することを企てたり、主張したり、あるいはそれらを目的とした政党その他の団体を結成したり、加入したりしたことがない、ということです(憲法遵守条件)。

未成年が帰化申請をするには?

先程の2つ目の条件で、申請者は成年でなければならないと説明しました。但し、以下の3つの場合は、未成年でも帰化申請することができます。

1つ目は、両親か父母どちらかと同時に、帰化申請をする場合です。なお、子どもが15歳未満の場合、法定代理人である親が代わって申請を行います。また、15歳以上18歳未満の場合には、書類の作成、面接等の帰化申請手続きは、子ども本人が行います。

2つ目は、両親のどちらかが日本国籍の場合です。この場合、先程ご説明した「能力要件」、「住所要件」、「生計要件」が緩和されます。

3つ目は、未成年の外国人であっても、その子が日本人の養子の場合です。但し、この場合は、「日本に引き続き1年以上在住している」という条件がありますので、注意が必要です。

まとめ

基本的に、日本の法律における成年(18歳以上)で、なおかつ現在国籍を持つ国の法律でも成人でなければ、帰化申請はできません。しかし、親と同時に帰化申請を行う等の方法であれば、可能となっています。