前科がある場合の帰化申請について解説

外国人の方が日本で帰化申請する際に素行が善良であることが要件とされています。そのため、過去に犯罪歴や交通違反があると審査に影響を及ぼします。素行要件で引っかかってしまった場合は「帰化申請はできなくなるの?」など、不安な方もいるでしょう。そこで今回は、前科がある場合の帰化申請についてと帰化の素行要件について解説します。

前科がある場合の帰化申請について

逮捕歴や犯罪歴、交通違反などがある場合に帰化申請ができるかについては、素行要件に引っかかる可能性が高く、不許可になることが多いです。

しかし、犯罪歴が相当程度経過している場合は素行要件に影響しないケースもあります。

刑法34条の2では「 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。」という規定があります。

つまり、刑務所で服役を終え、10年以上経過していれば、帰化が許可される可能性があるのです。

ただし、犯罪の内容により、10年以上経過していても帰化が許可されないケースもあるため注意が必要です。

一方で犯罪の内容により、10年以下であっても帰化申請が許可される場合もあります。

また、帰化の審査は世帯で判断されます。ご自身の素行が善良でも家族の中に犯罪歴や交通違反などがあった場合には不許可になることも否定できません。

なお、犯罪は程度・内容・刑量・時期など、総合的に判断されます。

帰化の素行要件とは?

素行要件とは、素行が善良であることを求められます。国籍法第5条第1項第3号に規定される要件です。

具体的には実刑有罪判決や執行猶予付き有罪判決、交通違反、税金の未納、民法上の不法行為、不法残留、年金の支払い状況など、多岐にわたります。

交通違反は、違反の内容や頻度などさまざまです。

飲酒運転や危険運転致死、法定速度を大幅に超えるスピード違反、無免許運転など、懲役や罰金刑が課される重い罪である場合は、法務局から帰化申請の取り下げを指導される場合もあります。

犯罪歴や交通違反を隠すと審査の段階で発覚するケースも少なくありません。虚偽の記載となり、不許可となります。

まとめ

帰化許可申請の素行要件は、素行が善良であることを求められます。国籍法第5条第1項第3号に規定される要件です。

逮捕歴や犯罪歴、交通違反などがある場合に帰化申請ができるかについては、素行要件に引っかかる可能性が高く、不許可になることが多いです。

しかし、刑務所で服役を終え、10年以上経過していれば、帰化が許可される場合もあります。

ただし、犯罪の内容により、10年以上経過していても帰化が許可されないケースもあるため注意が必要です。