外国人が帰化すると官報に載る?│周囲に知られる可能性と告示後の手続きについて

外国人が日本で帰化すると、国籍法の定めにより、政府が発行する「官報」で告示されます。
現状として帰化する人の多くは長く通称名(通名)で暮らしており、社会的には日本人として受け入れられています。そんな人にとって気がかりなのは、官報から元々外国人であったと周囲に知られてしまう可能性ではないでしょうか。

帰化許可が官報で告示されるタイミング

帰化したことが官報に載るのは、審査に通過して許可が下りたタイミングです。必要書類を提出する時期から起算すると、概ね1年から2年程度となります。いつ載るのか事前に案内してもらうのは基本的に難しく、法務局から帰化申請の結果連絡を受ける前に掲載されるのが一般的です。
なお、不許可となった場合には掲載されません。

そもそも官報とは何か

官報とは、法律制定や一定の法的手続きにつき、政府から広く市民に知らせるための紙面です。ほぼ毎日発行されており、手続き関連については「個人や会社の破産情報」や「死亡者の相続人への呼びかけ」等が掲載されています。
帰化許可申請に関する告知は、官報紙面に占めるほんのわずかな情報に過ぎません。何よりも、官報はごく普通の日本人が手にするものではなく、税や金融取引に関わる一部の職の人だけが必要に応じて閲覧するものです。

帰化情報が官報で告示される時の掲載内容

帰化したことが官報に掲載される時は、以下のような体裁を取ります。氏名は帰化前の本名となり、通称名は掲載されません。本名を周囲に知られていない場合は、仮に告示を見られたとしても、住所および誕生日から申請人を推定するしかないと考えられます。

法務省告示第〇号
左記の者の申請に係る日本国に帰化の件は、これを許可する。
令和〇年〇月〇日
法務大臣 ○○〇〇

住所 東京都○○区○○町▲ー▲―▲
氏名 〇〇〇 昭和〇年〇月〇日生

官報掲載後は1か月以内に帰化の届出をする

帰化許可は官報告示によって効力を有するようになりますが、まだ手続きは残っています。まずは法務局より身分証明書をもらい、告示から1か月以内に帰化届と国籍喪失届を市区町村役場に提出しなくてはなりません。出入国在留管理局への在留カード返納は14日以内と、さらに期限が短く設定されています。
以上の手続きに関しても十分注意し、漏れがないようにしましょう。

おわりに│帰化許可の官報告示のポイント

帰化者の情報は官報に掲載され、告示をやめてもらう手段はありません。ただし、一般的な日本人の目に留まる刊行物ではない点等から、知人や職場の人に気付かれる可能性は低いと言えます。
より注意したいのは、告示で効力が発生したからといって帰化の手続きが終わるわけではない点です。帰化届等の所定の手続きを期限内に行うことで、パスポート取得等の本来の目的が果たせるようになります。