日本で帰化申請するための条件│普通帰化・簡易帰化・大帰化の違い

外国人が日本に帰化できるのは、国籍法で定められる6つの条件をクリアした時です。ただし、配偶者や子等については一定の条件緩和があり、年齢・在留歴等が足りなくても許可が下ります。
以降では帰化申請の種類を3つに分け、それぞれの条件を解説します。

【普通帰化の場合】帰化申請の条件

就労や移住目的で日本にやってきた外国人の場合、普通帰化と呼ばれる手続きを行います。申請が許可されるのは、次の6つの条件を満たした時です。

住所条件(国籍法第5条第1項第1号)

第1の条件は、帰化申請までの継続5年以上に渡って日本に住所を持っていることです。
居住中は常に正当な在留資格が必要で、たった一度でもオーバーステイや不法就労があると不許可になると考えられます。

能力条件(国籍法第5条第1項第2号)

第2の条件は、日本の法律で成人年齢に達していることです。
かつては20歳以上とされていましたが、2022年4月1日に法改正され、現在は18歳になると帰化申請できるようになっています。

素行条件(国籍法第5条第1項第3号)

第3の条件は、素行善良と認められることです。
個別の判断は、犯罪歴の有無、日本の法律上まだ消滅していない刑の存在、納税状況、そして身の回りの人との関係性等を総合して行われます。

生計条件(国籍法第5条第1項第4号)

第4の条件は、日本国内で生活保護を受給する等と言った状況に陥らず、安定して生活を営めるだけの収入・資産・技能があることです。
収入は世帯単位で判断されるため、仮に申請人自身は専業主婦(主夫)であったとしても、配偶者の給与等で生活できていれば十分と考えられます。

重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)

第5の条件は、帰化申請が許可された段階で元の国籍を離脱することです。
ただし、やむを得ない事情ですぐに外国籍を離脱出来ない場合は、その事情を説明することで猶予してもらえます。

憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)

第6の条件は、日本政府や社会に対する暴力的な活動をしていないことです。
ごく簡単に、暴力団組織との関わりや加入・結成がなければ問題ないと理解して構いません。

【簡易帰化の場合】帰化申請の条件

特別永住者や、その他の日本国籍の保有者と一定の親族関係にある人は、より条件が緩和された「簡易帰化」の申請が認められます。緩和の内容は申請人によって異なり、国籍法第6条から第8条で次のように定められています。

日本生まれの人【国籍法第6条】

下記にあたる人は住所条件が緩和され、居住から概ね3年目で帰化申請できるようになります。

l 日本国籍を喪失した人の実子
l 日本で生まれた人
l 実の両親のどちらかが日本生まれの人
l 継続10年以上に渡って日本に居所を持つ人

日本人の配偶者【国籍法第7条】

日本国籍を持つ人の配偶者は、継続して3年以上に渡って日本に住所または居所を有していれば、成人年齢に達していない場合でも帰化申請できます。結婚から3年以上経過で住所要件がさらに短縮され、在留1年目からでも申請できるようになります。

日本人の子【国籍法第8条】

現に日本国籍を持つ人の子や、日本生まれかつ無国籍の人の人である場合は、住所要件・能力条件・生計条件の3つが緩和されます。未成年者かつ親に扶養されている人であっても、帰化申請が許可されるのです(対象者は下記)。

l 日本人の実子で、現に日本に住所を有している
l 成人前に日本人の養子となり、かつ継続1年以上住所を有している人
l 日本国籍を失った後(※帰化で得た場合を除く)も日本に住所を有する人
l 日本で生まれ、出生時から無国籍の状態で満3歳以上の人

大帰化とは

帰化申請には「大帰化」と呼ばれる許可プロセスもありますが、これは自己の意志で手続きできるものではありません。日本に特別の功労がある外国人につき、国会の承認で帰化を許可する場合を指しています。
申請人本人は普通帰化、配偶者や子は簡易帰化で日本国籍を得ると考えましょう。

帰化申請のポイント

帰化申請は必要書類が多く、許可が下りるまで1年程度と時間もかかりがちです。紹介した条件以外にも下記ポイントを押さえ、失敗がないようにしましょう。

簡易帰化は最低限の日本語能力が求められる

日本人の配偶者や子を対象とする簡易帰化の申請にあたっては、法律で定められた条件以外にも「日常生活に支障のない程度の日本語能力」が求められます。生活上必要な読み書きをこなし、難しい手続き以外は通訳者なしで対応できる状態でないと、許可は下りません。

必要書類は個別に異なる

帰化申請に対する許可・不許可の判断は、1人ひとりの状況を総合して行われます。そのため、提出する書類も申請人ごとに異なり、法務局と相談しながら集めるのが一般的です。
なかには、許可されるよう自己判断で書類を補足したり、取得の難しい書類の代替物を探したりしなければならないケースもあります。家事や仕事をこなしながら自力で手続きを進めようとすると、大いに苦労すると考えられます。