外国人が帰化できない理由・原因とは│よくある不許可の理由

2022-07-07

外国人の帰化が不許可となる理由は、申請先の法務局に問い合わせても教えてくれません。国籍法上の条件を満たしてもその他の事情のせいで帰化できない場合があり、申請人自身で原因を突き止めるのも不可能です。
公開されている不許可事例もほとんどありませんが、主だった帰化できない理由・原因として、以下のようなものが挙げられます。

・居住期間もしくは就労期間が短いと判断された
・道路交通法違反の経歴や納税状況から見て、素行不良と判断された
・借金や日本語能力のせいで、今後安定した暮らしは望めないと判断された

居住・就労の期間が短い

帰化できない理由として第1に挙げられるのは、居住期間あるいは就労期間の不足です。
居住年数については法律に明記されていますが、出入国の状況によって申請人の認識よりも短いと判断されることがあります。引っ掛かりやすいのは、法律にはない就労年数の要件です。

出国期間が長いと居住継続とはみなされない

法律上帰化できるのは、原則として5年以上に渡り日本で居住を継続した人です。ただ、一度の出国で2か月ないし3か月間に渡って日本を離れると、法律にある「引き続き日本に住所を有する」状態にはないと判断される可能性があります。
すなわち、帰化申請の審査の際は、再入国したタイミングから居住継続を始めたものとみなされるのです。

目安として3年以上就労する必要がある

自力で生計を立てられるのは帰化の基本条件ですが、その判断基準のひとつに就労期間があります。配偶者や子等の扶養されている人を除いては、目安として3年以上就労していないと、帰化は許可されません。
就労期間がより短い場合は、家計と共に資産や扶養者の収入を説明し、生活に困ることはないと理解してもらう必要があります。

素行善良と認めてもらえない

帰化できない理由として、他には素行に関する判断が挙げられます。
素行の判断は主に「犯罪歴」と「公的義務の履行状況」に基づいて行われますが、自分では問題ないと思っていても、審査で引っかかってしまう場合がよく見られます。

交通事故・違反歴もマイナス要素になる

素行、つまり普段の暮らしでマナーを守れているかどうか見る時は、日本の道路交通法に違反した経歴もチェックされます。違反点数が多い場合はもちろん、一度でも交通事故を起こして警察に調書を取られていたりすると、それだけで帰化できない理由になり得ます。

税・社会保険料は申請までに完納する必要あり

所得税、住民税、健康保険料、年金保険料等で構成される「公的義務」は、帰化申請までの間に完全に履行しておかなくてはなりません。少しでも滞納があれば、それだけで不利になってしまいます。
なお、外国籍のままで継続して在留したい時の「永住許可申請」と比べれば、帰化に求められる条件は低くなっています。永住者は一度でも滞納があるだけで不利となりますが、帰化申請は他の一切の事情を考慮するため、事前に完納していれば許可の見込みは十分にあると考えられます。

生活に安定性がないと判断されてしまう

上記以外にも、申請人の状況から「日本で自立した生活を送れるか不安がある」として帰化できない場合があります。チェックされているのは、次のような事情です。

多額の債務は帰化申請で不利になる

帰化申請の際は借金についても資料提出が求められ、収入に対して金額が多ければ不利になります。ましてや、自己破産や個人再生を進めている状況では、帰化の許可は望めません。
もっとも、破産手続であれば免責から7年以上、個人再生であれば完済して一定期間が経っていれば、帰化の審査でマイナス要素と見なされる可能性は低くなります。

日本語能力が低い

法律上、帰化の要件に語学力は含まれません。実際には、日本で自立して暮らすための必要条件として、日常生活に支障をきたさないレベルの日本語能力が求められます。具体的な基準はないものの、ひらがな・カタカナ・小学校低学年レベルの漢字を読み書きできる程度の能力は欲しいところです。
日本語能力のチェックは、提出する自筆の「帰化の動機書」や、申請後の面接で行われます。そのため、ネイティブ話者に手伝ってもらって審査通過を狙うのは、基本的に不可能と考えるべきです。

おわりに│帰化できない理由は人によって異なる

ここまで解説した不許可の原因はごく一部で、帰化できない理由は申請人ごとに異なると考えましょう。
帰化申請から結果通知までは1年から2年程度と長く、一度不許可になれば時間も手間も大いに無駄になります。日本国籍取得の可否について不安がある場合は、事前に本邦の専門家に相談しましょう。