転職に伴う就労ビザの3つのケースについて解説
日本に滞在する外国人が新たなスキルを得るためや、経験を積んでから次のステップとして転職するケースもめずらしくありません。
その際、これまでの就労ビザで「そのまま手続きなしで可能なのか?」などと、気になる方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、転職に伴う就労ビザについて解説します。
転職を検討する段階では、現在の在留資格で認められている活動内容を正確に理解することが重要です。入管法上の「活動内容」は細かく区分されており、職種や業務範囲がわずかにずれるだけでも「資格外活動」と判断されることがあります。そのため、転職前に専門家へ確認するのが安全です。
就労ビザとは?
外国人が日本で働くために必要な在留資格を指します。就労ビザは正式名称ではなく、慣用的に使用されているものです。
90日以上、日本へ滞在する場合は、中長期の就労ビザを取得する必要があります。
就労ビザは、1人につき1種類認められています。
就労ビザは「活動内容」で区分されているため、複数の職種にまたがる業務を行いたい場合には特別な許可(資格外活動許可)が必要です。また、兼業や副業を行う場合も、許可のないままでは違法就労とみなされる可能性があるため注意が必要です。
転職に伴う就労ビザについて
日本に在留する外国人が転職する際は、職務内容などの活動範囲によって異なりますが、原則として転職後14日以内に出入国在留管理庁に届出を行わなければなりません。
・ 職務内容に変更がないケース
たとえば、技術・人文知識・国際業務の在留資格でデザイナーとして働き、転職先でもデザイナーの業務を行う場合です。
職務内容に変更がない場合でも、転職後14日以内に「所属機関等に関する届出」をする必要があります。
届出を行わなかった場合は、20万円以下の罰金に処せられる可能性があるため、注意が必要です。
届出を怠ると、就労ビザ更新の際にも影響が生じる可能性もあります。
ただし、この届出は、2012年(平成24年)7月9日以降に上陸許可、在留資格変更許可、在留期間更新許可などを受けた者に限ります。
届出は郵送やオンラインでも可能ですが、転職前に「退職から入社までの空白期間」を設けすぎると、実質的な離職と見なされることがあります。離職期間が長い場合は、在留資格の更新時に合理的な説明や証明書類の提出を求められる場合があるため、計画的な転職を心がけましょう。
・ 職務内容に変更があり、就労ビザの範囲内
職務内容に変更があり、在留資格の範囲内である場合は、在留資格の変更などを行う必要はありません。
しかし、「就労資格証明書」というものを地方出入国在留管理官署などに任意で申請すると、就労ビザ更新の際に手続きが簡略化されるため便利です。
実務経験などで業務範囲も変わる場合もあり、「就労資格証明書」を取得しておくとよいでしょう。
・職務内容に変更があり、就労ビザの範囲外となったケース
職務内容に変更があり、就労ビザの範囲外となった場合は「在留資格変更許可申請」を行います。
たとえば、技術・人文知識・国際業務の在留資格で総務部門として働き、経営・管理の在留資格で監査役として転職した場合です。
「在留資格変更許可申請」は、在留期間内であればいつでも申請することが可能です。
まとめ
職務内容に変更がないケースや 職務内容に変更があり、就労ビザの範囲内であっても
「就労資格証明書」を申請すると安心です。
職務内容に変更があり、就労ビザの範囲外となった場合は「在留資格変更許可申請」を行います。
特に専門職から管理職、あるいは異業種への転職は、入管側の判断が分かれやすいため、早めに専門家(行政書士や弁護士)へ相談しましょう。
正しい手続を踏めば、キャリアアップをしながら安定して日本で働き続けることが可能です。























