在留資格「定住者」とは?│該当者の範囲と審査基準

2022-07-07

日本国内に居住する資格の1つである「定住者」は、日系人や難民等、特別な理由がある人に認められる在留資格です。他の居住資格との決定的な違いは、在留期間の更新手続きが必要になる点です。

定住者とは

定住者資格とは、自分から進んで住まいや活動内容を選ぶわけではなく、日本で安定した生活を送るためにやむなく手続きする場合を想定した資格です。
審査では「告示定住者」と「告示外定住者」に分かれており、それぞれ簡単に言えば、次のような人が該当します。

▼告示定住者
難民として新たに入国する人、ほとんど日本人として暮らすものの国籍は外国にある人

▼告示外定住者
難民として一定期間在留した人、家族構成が変わって在留資格の変更が必要になった外国人

告示定住者

告示定住者とは、在留資格「定住者」を取得できる人として法務省に指定されている場合の資格です。2021年10月28日以降は、以下のパターンに分類されています。

1号指定国に一時滞在し、UNHCRが保護の必要性を認めて日本国に推薦した者
3号・4号日本人の子、日系人2世~3世
5号「日本人の配偶者等」で在留する日本人の子、期間1年以上が認められた定住者、日系人の配偶者等
6号日本人や居住資格を持つ外国人に扶養される子
7号日本人や居住資格を持つ外国人に扶養される6歳未満の養子
8号戦前の混乱で中国に残留した日本人、およびその親族

告示外定住者

告示外定住とは、これまで「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」で在留していたものの、現にある資格に該当しなくなる事情が急に発生した場合の資格です。下記のようなケースでは、法務省の告示によらず、個別の審査で許可が下ります。

l 日本人等と離婚または死別した場合
l 夫婦仲の悪化が原因で別居する場合
l 日本人の子を養っている場合
l 未成年者が養親との関係を解消する場合
l 難民に認定されて10年経った場合
l 難民認定が受けられず、在留資格「特定活動」で期間1年の決定を受けていた場合

永住者と定住者の違い

永住者と定住者との唯一の違いは、決定される在留期間です。
在留資格「永住者」は、原則10年間に渡る在留状況を審査する代わりに、認定されると無期限で日本に滞在できます。一方の定住者は、緊急性の高さから短期間の在留でも許可してもらえる変わりに、原則5年・3年・1年・6か月のいずれかの期間しか認められません。

▼永住者で在留する場合
取消し事由に注意して生活し、7年おきに在留カードを更新するだけでOK

▼定住者で在留する場合
素行に注意しつつ、最長5年おきに在留期間を更新する必要あり

定住者からの永住・帰化は可能

定住者で在留期間5年の決定が下りれば、期間満了の直前には永住者の要件を満たせると考えられます。日本の生活が安定していれば、申請書類は複雑になるものの、帰化申請も視野に入るでしょう。

定住者資格の要件│告示外定住の場合

あるタイミングで定住者資格への変更が必要になるとすれば、たいていは「告示外定住者」として申請することになります。当てはまる代表的な4つのケースを取り上げ、許可の要件を紹介します。

日本人の子を監護・養育する場合

日本人の子を養っている人は、次の3つの要件を満たせば定住者資格を得られます。申請後の審査では、育児の状況や親権者争いの有無につき、電話等で当事者全員に事情確認される場合があります。

l 日本人の父が認知届を出している(正式な夫婦でない間に生まれた子の場合)
l 生計を営むに足りる資産または技能がある※
l 日本の法律で親権が認められている
l 相当の期間に渡り、監護・養育の実績がある

※収入等がなく生活保護を受給していても、将来的に就労するつもりなら問題ないと考えられています。

日本人等と離婚または死別した場合

日本人や永住者等と離婚による定住者資格への変更は、これから1人で生活できるかどうかが注目されます。また、離婚前の結婚生活に実態があり、偽装でなかったことも重要です。主な許可要件をまとめると、次の通りです。

l 夫婦が別れる前に、相当の期間に渡って正常な婚姻関係が続いていた
l 生計を営むに足りる資産または技能がある
l 十分な日本語能力があり、困難なく通常の社会生活を営める
l 税や社会保険料の納付義務をきちんと履行している(もしくは履行の見込みがある)

日本人等と別居する場合

別居開始から離婚までの間に定住者資格を申請する時は、お互いに夫婦関係を続ける気がなくなっている場合に限って許可されます。許可要件をまとめると、次のようになります。

l 離婚の前、相当の期間に渡って正常な婚姻関係が続いていた
l もしくは、正常な婚姻関係が続いている間にDV被害を受けた
l 生計を営むに足りる資産または技能がある
l 税や社会保険料の納付義務をきちんと履行している(もしくは履行の見込みがある)

日本人との養子縁組を解消した場合

未成年者が日本人との特別養子縁組を解消する場合、人道上の保護の要件を満たせば定住者資格の許可が下ります。要件はシンプルで、以下の3つです。

l 日本国内で養親に扶養されていた(国外に実親がいる場合は除外)
l 国内で実親または別の養親に扶養される場合、扶養者にその能力が認められる
l 生計を営むに足りる資産または技能がある(更新許可申請の場合)

おわりに│定住者資格のポイント

在留資格「定住者」は、人道上の保護すべき状況にある人のための資格です。日本での定着や長期的なビジネスを考える時は、基本的に「永住者」を申請すると考えましょう。
また、既に一定期間に渡って定住者資格で生活している場合、永住者への変更や帰化が視野に入ります。生活上不便がある時は、申請を検討してみましょう。