【意外と知られていない国籍問題】ハーフと日本国籍の関係
日本でも国際結婚が増えてきており、その夫婦の間に生まれた子ども、いわゆる「ハーフ」も珍しくなくなりました。ハーフの国籍はどのように決められるのか、意外と知られていません。ここでは、ハーフの国籍に関する問題をご説明します。
ハーフの国籍は?
日本国籍の親と外国籍の親の間に生まれた子どもの国籍は、日本国籍です。日本では、例え海外で生まれたとしても、親の一方が日本国籍を持っていれば、子どもは無条件に日本国籍を取得することになります。
一方で、アメリカでは親の国籍に関係なく、アメリカで生まれた子どもは、無条件でアメリカ国籍を取得できます。
二重国籍の問題
例えば、日本国籍の夫とアメリカ国籍の妻の間に生まれた子どもは、日本国籍を取得できますが、もしアメリカで生まれた場合には、同時にアメリカ国籍も取得することになります。これが、一般的に言われる「二重国籍」です。
もし二重国籍の子どもが日本に帰国する場合においても、当面は二重国籍のままで生活することができます。但し、以下に示すとおり、ある期限が来る前に国籍を選択しなければなりません。
国籍の選択
「国籍法第14条第1項」では、日本の国籍と外国の国籍を有する人(重国籍者)は,一定の期限までに、いずれかの国籍を選択する必要があるとされています。また、一定の期限を過ぎた場合でも、どちらかの国籍を選択しなければなりません。
もし一定の期限を過ぎても、日本国籍の選択をしなかった場合には、法務大臣は選択を催告できることになっています。催告された人は、1ヶ月以内に日本国籍を選択しなければ、日本国籍を失い、外国籍のみになります。つまり、日本では、あくまでも1つの国籍しか認めていないのです。
それでは、その「一定の期限」とはいつなのか?国籍法では、18歳に達する以前に重国籍になった場合は20歳まで、または18歳に達した後に重国籍になった場合は重国籍になって2年以内に、国籍を選択しなければならないとされています。
以前は、成人年齢が20歳だったため、「20歳に達する以前に重国籍になった場合は22歳まで、または20歳に達した後に重国籍になった場合は重国籍になって2年以内」が期限でしたが、2022年(令和4年)4月に成人年齢が18歳に引き下げられたため、現在のようになりました。
なお、国籍を選択する場合は、次の方法があります。但し、当事者が15歳未満の場合には、法定代理人(親権者等)が代わりに行うことになります。
まず、日本国籍を選択する場合です。1つ目は、その外国の法令に従って離脱の手続きを行い、市区町村役場か日本大使館等へ「外国国籍喪失届」を提出する方法です。2つ目は、市区町村役場か日本大使館等に日本の国籍を選択し,外国の国籍を放棄する旨の「国籍選択届」を提出する方法です。
次に、外国籍を選択する場合です。1つ目は、住所地を管轄する法務局等か日本大使館等に戸籍謄本、住所を証明する書面,外国国籍を有することを証明する書面を添付して,国籍離脱届を提出する方法です。2つ目は、外国籍を選択したことを証明する書類を添付して、市区町村役場か日本大使館等に「国籍喪失届」を提出する方法です。
まとめ
両親の一方が日本国籍で、海外で生まれた子どもは、「二重国籍」になります。当面は生活に支障はありませんが、18歳までにどちらの国籍にするかを選択しなければなりません。