知らないといけない!ベトナムで就労ビザを申請するためには?
ベトナムにおける経済発展は、目を見張るものがあり、世界から多くの企業が進出しています。そのような状況ですから、ベトナムで就労を希望する日本人も多くなっています。企業で働くには、就労ビザが必要ですが、そのための申請方法は意外と煩雑です。
近年では、日系企業の現地法人や合弁企業が増加しており、特にホーチミン・ハノイ・ダナンなどでは管理職・技術者・専門職としての日本人採用が拡大しています。一方で、労働許可証の審査は年々厳格化しており、過去の滞在歴や雇用契約の実質性も確認される傾向にあります。
就労ビザの種類
日本人がベトナムで働く場合、原則的に「就労ビザ」と「労働許可証」の2つが必要になります。
「就労ビザ」は、15日以上ベトナムに滞在できる証書であり、「労働許可証」は、ベトナムで3ヶ月以上仕事をする場合に必要な証書です。
「就労ビザ」には、「シングルビザ」と「マルチビザ」の2つがあり、それぞれ有効期間は、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月です。「シングルビザ」は、ベトナムから出国した場合に無効となりますが、「マルチビザ」は、期間内であれば、何度でも出入国が可能です。
また、「就労ビザ」には、「DN」と「LD」の2種類があります。「DN」は、外国人がベトナム企業を訪問するためのビザで、「LD」は、外資系企業に勤務するためのビザです。
現在では、さらに細分化され「LD1」「LD2」などの区分が導入されています。LD1は労働許可証が免除される特定の役職者(取締役や支店長等)向け、LD2は通常の労働者向けビザです。目的に合わないビザ種別で入国した場合、後の更新や延長が拒否されることがあるため注意が必要です。
なお、2015年以前は、ベトナムを観光目的でビザなしで訪れて、入国後にビジネスビザに切り替える方法が認められていました。しかし、現在では、就労目的でベトナムに入国する場合、本国でビザを取得していなければ、ビザの延長申請が受け付けてもらえなくなりました。
この改定以降、入国後のビザ種別変更が厳しく制限され、就労目的での「観光ビザ入国→切り替え」は原則不可となっています。渡航前に必ず雇用先企業が招聘状を取得し、日本国内のベトナム大使館・領事館でビザを発給してもらうのが安全です。
就労ビザを取得する手順
ベトナムの「就労ビザ」を取得する方法には、次の3つがあります。
まず1つ目は、日本にあるベトナム大使館・総領事館で申請をする方法です。なお、大使館は東京都、総領事館は大阪府と福岡県にあります。この方法の場合、それほど費用はかかりませんが、申請書類等に不備があった場合、取得には時間がかかることになります。また、頻繁に手続きや条件が改定されますので、自ずと専門家に依頼することになります。
次に2つ目は、日本のビザ申請代行サービスに依頼する方法です。この方法は、専門家に依頼するわけですから、確実に取得できるメリットがありますが、費用がかかるというデメリットもあります。
最後に3つ目は、ベトナムにあるビザ申請代行サービスに依頼する方法です。先程、頻繁に手続きや条件が改定されると言いましたが、この方法で申請すると、そのような事態にも対応してくれます(但し、追加料金が必要)。
実務上は、雇用先企業が現地の入国管理局で招聘状(Visa Approval Letter)を取得し、それをもとに日本国内で申請する流れが一般的です。なお、招聘状の発行には通常5〜7営業日程度を要し、申請時点で雇用契約書や会社の登記証明書類が必要です。
申請に必要な書類
就労ビザの申請に必要な書類は、以下のとおりです。
・申請人のパスポート(ビザ申請期間+有効期限が3ヶ月以上残っていること)
・ベトナム企業からの招聘状(取得許可番号)
※招聘状を取得するためには、下記の書類を入出国管理局に提出し、申請を行わなけ
ればならない。
(ベトナム企業の登記簿、投資ライセンスの公証済みコピー)
(ベトナム企業の印鑑及びサインの登録書の公証済みコピー)
(ビジネスビザ申請用書類:N2フォームと呼ばれるもの)
・申請人の証明写真(3cm×4cm)
・入国許可証のコピー
労働許可証の申請に必要書類は、以下のとおりです。
・労働許可書申請書
・申請人のパスポート
・申請人の証明写真(4cm×6cm)2枚
・健康診断書(ベトナム語)
・卒業証明書・実務経験証明書
・犯罪経歴証明書・無犯罪証明書
・現地法人の辞令(任命書)・労働契約書
・外国人雇用承認証明書
・投資登録証明書/企業登録証明書等
・その他に状況応じた必要書類
犯罪経歴証明書は日本の警察署で取得可能ですが、発行後3か月以内のものが有効とされています。また、健康診断書も3か月以内の発行である必要があり、指定病院以外のものが無効となるケースもあるため注意が必要です。
まとめ
ベトナムで働く場合も、他の国と同様に「就労ビザ」が必要です。ただ、手続きや条件が頻繁に変更されるため、申請の際には注意を要します。
2024年以降、電子ビザ(e-Visa)制度も拡充されていますが、これは短期滞在者向けであり、就労には使用できません。正規の就労ビザと労働許可証の双方を取得し、在留期間満了前に延長手続きを行うことが重要です。























