日本の永住許可申請にかかる時間はどのくらい?
日本の永住権申請にかかる審査期間は標準4か月とされていますが、実際には6か月以上かかるケースが稀ではありません。より短期間かつ確実に許可を得たいのなら、申請前に提出書類等をしっかり確認しておきましょう。
永住許可申請にかかる期間
永住許可申請の審査では、現在までの日本の在留状況に問題がなく、その後もトラブルを起こさずに生活できるかどうか、入念にチェックされます。審査項目も非常に多く、余裕を持って半年ほどと考えておくべきです。
標準的な審査期間
永住許可申請の標準的な審査期間は、法務省によると4か月です(手続き案内ページより)。ただし、申請内容や審査官の抱える業務量により、より早く進む場合や遅くなる場合があります。最近の事例だと、実際には6か月から1年程度かかる傾向です。
審査期間に影響する要素
審査期間が前後する主な理由は、申請人1人ひとりの手続き内容です。審査官が個別に確認しなければならない項目が多いほど長引き、反対にチェックを厳格にしなくてもいい場合は短くなります。
▼審査期間が標準以下で済む場合
l 提出した書類が十分で、追加の手続きをしなくても審査が完結する
l 不許可の理由になり得る要素がない
▼審査期間が長引く場合
l 提出した書類に不足がある
l 追加資料や書類訂正が必要になった
l 日本国内で生活している間の公的記録につき、詳細に追う必要がある
l 不許可の理由になり得る要素がある(素行不良、過年度分の納税義務に問題がある等)
永住権取得までの期間を短縮するには?
永住許可申請後の審査状況は、基本的に申請人しだいです。なるべく早く永住許可申請の結果を得たいなら、以下のポイントに注意しましょう。
指定された提出書類を確実に揃える
審査期間の短縮で何より重要なのは、法務省指定の提出書類をきちんと揃えることです。提出する時も油断せず、内容のチェックも丁寧に行いましょう。
万が一書類追加や不備修正が求められると、一時的に審査が保留されます。審査が再開されるまで、少なくとも郵送日数と担当部署での受理日数分の時間がかかります。
身元保証人の資格に注意する
代行サービスを頼まずに永住許可申請をやる場合、身元保証人の審査で時間がかかる場合がよく見られます。申請前に、身元保証人が必要だと理解できているか、保証を頼む相手が資格を満たしているか、丁寧に確認しましょう。
転職活動は許可されるまで待つ
日本で永住権を取得するには、長期間安定して働ける仕事に就いていなくてはなりません。勤続年数が短く、直近で転職していると、就労状況も収入も不安定で自力で生活していくことが難しいと判断されてしまいます。
もし転職を予定しているのなら、永住許可申請の審査が終わった後にしましょう。
行政書士の代行サービスや各種支援を利用する
永住権取得のルールを外国人が理解するのは困難で、どうしても不備や不足は避けられません。最初の手続きで確実に審査を通してもらえるよう、なるべく行政書士や在国の支援サービスに依頼しましょう。
特に、自由形式で作成することになる理由書に関しては、スムーズに作成できるようフォローしてもらいたいところです。
申請後の審査状況の確認はできる?
日本国で行った永住許可申請のその後の状況は、管轄の地方出入国在留管理官署に問い合わせれば分かります。ただし、過度な期待は禁物です。
問い合わせても詳しい回答は得られない
永住権を含めた在留関係の審査については、日本人を含む一般の市民に詳しく公開できない内容とされています。そのため、問い合わせて状況確認しても、せいぜい下記の3パターンしか教えてくれません。
▼審査状況の確認に対する回答の例
l 「書類を受理しています」
l 「審査中です」
l 「確認事項があるので郵便物を送付しています」
問い合わせが審査で不利になることはない
審査状況を確認するための連絡を行っても、例えば「迷惑だ」「審査官の手が止まってしまった」等の理由で不利になることはありません。日本の行政サービスは利用者に対して親切で、きっちり仕事をこなしてくれます。
ただ、あまりにもしつこく連絡すると、それだけ審査期間が長引いてしまうかもしれません。不安にかられることのないよう、申請前に不備・不足がないか丁寧に確認しておきましょう。
永住権申請の許可率
永住権申請が許可されるかどうか、確率を事前に予測するのは不可能です。政府統計から申請件数に対する許可件数の割合を見て、最近の動向を知る他ありません。
結論を言えば、全体の許可率は低下しつつあります。
近年は大都市で50%程度
日本国政府の出入国管理統計(リンク)では、都市ごとに永住権申請の許可率が紹介されています。地域差はあるものの、東京は減少傾向にあり、新型コロナウイルスの流行が始まった2020年には50%未満に下がりました。
統計年度 | 東京 | 大阪 | 札幌 |
2014年 | 68.5%(28,531件のうち19,565件) | 72.9%(6,765件のうち4,936件) | 81.8%(309件のうち253件) |
2019年 | 53.3%(34,453件のうち18,366件) | 71.5%(6,962件のうち4,980件) | 69.3%(486件のうち337件) |
2020年 | 49.3%(33,336件のうち16,459件) | 76.8%(5,817件のうち4,469件) | 68.2%(431件のうち294件) |
許可率が下がった理由
永住権申請の許可率が下がった理由は、2019年のガイドライン改正だと考えられます。納税と社会保険料納付に関する基準が厳しくなり、たった一度の滞納でも不利になってしまったのです。
その他には、感染症流行下で公共サービスや民間取引の利便性を向上させようと、申請する人が増えた影響が考えられます。いずれにしても、当分は申請の進め方に注意しなければなりません。
おわりに│永住権申請は余裕を持って準備を
一度永住権を取得できれば、日本国籍を持つ人とほとんど変わらない生活を遅れます。審査期間を長引かせないよう、慌てず余裕を持って、丁寧に準備しましょう。
▼永住権申請の審査期間を短くするポイント
l 書類の不備・不足を避ける
l 身元保証人の資格等に注意する
l 転職活動は後回しにする