【行政書士が解説】在留資格認定証明書の返納とは?
在留資格認定証明書は、外国人が中長期的に、日本に在留するために必要な書類です。ただこの証明書には、有効期限があります。もしこの期限を過ぎた場合には、無効になり、使用することができなくなります。ただし、自分で勝手に破棄せず、返納しなければなりません。
この証明書は、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号に基づき、外国人が上陸申請をする際に、その活動内容が在留資格に該当しているかどうかを事前に証明するための制度です。2024年時点では、技能実習・特定技能・技人国など、就労系の在留資格では必須書類となっています。
在留資格認定証明書とは?
在留資格認定証明書とは、外国人が日本に来て行うことができる活動の内容を証明する書類です。また、観光目的ではなく、日本で就労し、中長期的に滞在する外国人が対象です。なお、在留資格認定証明書には、その外国人が活動できる内容が記載されており、記載されていない活動は認められません。
在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility:COE)は、通称「COE(シーオーイー)」とも呼ばれ、法務省・出入国在留管理庁が発行する公的文書です。これはビザ(査証)そのものではなく、「この外国人が在留資格を得る要件を満たしている」と日本政府が事前に認めたことを示す証明書です。
在留資格認定証明書が必要なのは、外国人が日本に上陸するときです。この場合、在留資格認定証明書の他に、パスポートやビザの提示も求められます。
在留資格認定証明書は、日本の活動や身分関係(配偶者など)に偽りがなく、在留資格に該当することを証明するための書類です。従って、在留資格証明書がなければ、日本で行う予定の活動を証明することができません。ですから、日本へ入国するためには、あらかじめ在留資格認定証明書の交付を受けておく必要があります。
在留資格認定証明書は、あくまで「入国前の審査」を簡略化するためのものであり、入国審査時に自動的に在留資格が確定するわけではありません。空港の入国審査官が、COEの内容と本人の事情が一致しているかを再確認して初めて「在留カード」が交付されます。
在留資格認定証明書の入手方法
在留資格認定証明書は、日本に在留を希望する外国人本人が、日本に来て申請する方法と、外国人を雇い入れる受入機関(企業)などが、日本国内で代理申請を行う方法の2つがあります。
ただ、1つ目の方法だと、外国人本人がわざわざ日本に来て申請することになるため、通常は受入機関(企業)などが、日本国内で代理申請するケースがほとんどです。また、行政書士に申請を依頼することもできますし、特定技能ビザの場合は登録支援機関に勤務する職員も代理申請することができます。なお、身分系在留資格(例:日本人の配偶者など)の場合は、日本に住んでいる親族が申請を行うことが一般的です。
代理申請ができるのは、原則として「法務省に届出済みの機関」または「申請取次資格を持つ行政書士・弁護士」に限られます。企業の担当者が申請する場合でも、雇用契約書・登記事項証明書・法人印鑑証明などの提出が必要です。
申請後の1~3カ月程度で、在留資格認定証明書が申請者へ郵送されます。代理申請の場合は、それを本国に住む外国人に転送することになります。外国人は、その在留資格認定証明書を受け取ったら、本国にある日本の大使館や領事館に行って在留資格認定証明書を提示し、査証申請を行うことになります。
審査期間は、在留資格の種類や地方入管によって異なりますが、2024年時点では平均で2~3か月、繁忙期には4か月を超える場合もあります。留学や技人国、特定技能などは審査基準が厳格化しており、補足資料(業務内容や経歴証明)の提出を求められることもあります。
なお、在留資格認定証明書には、3ヶ月という有効期限がありますから、十分注意が必要です。発行日から3ヶ月を過ぎると無効になりますので、その前に日本に行く必要があります。
2023年の法務省通達により、新型感染症や災害等で渡航が困難な場合に限り、有効期限を6か月まで延長できる特例も設けられています。延長を希望する場合は、発行元の入管に「使用延期届」を提出し、再発行扱いで交付を受ける必要があります。
このような時に返納を
もし在留資格認定証明書が交付された後に、入社予定の会社から内定取り消しの通知が来たり、あるいは自分から内定辞退を申し出たりした場合には、発行された在留資格認定証明書は不要になります。
但し、不要になったからと言って、勝手に破棄しないようにしましょう。このような場合は、在留資格認定証明書に返納の理由を記載した「理由書」を添えて、発行された出入国在留管理局へ返納しなければなりません。
将来的に在留資格認定証明書が再度必要になって申請を行うようになった場合に、以前発行された在留資格認定証明書の確認が行われる場合があります。もし以前の在留資格認定証明書を使用せずに勝手に自分で破棄した場合には、新たな申請の手続きが滞る可能性があります。
そうなると、日本で就職が決まっていても、希望する日に入社できない可能性が出てきます。そうならないためにも、不要になった在留資格認定証明書は返納するようにしましょう。
返納の際は、簡単な「理由書(例:内定辞退のため使用しない)」を添え、証明書の原本を発行した地方出入国在留管理局に郵送します。返納を怠ると、次回申請時に「過去の証明書使用状況確認」に時間がかかることがあります。
まとめ
自分が申請して入手した在留資格認定証明書ですから、自分で処分しても構わないだろうと多くの人が思いかもしれません。しかし、発行する側としては、証明書が使用されていないということに疑問を持つことになりますので、不要の場合は必ず返納しましょう。
COEは、発行後3か月以内の使用が原則で、目的外使用や未返納は入管の記録に残ります。今後のビザ申請や在留資格変更の際に不利益を受けないためにも、不要になった場合は「返納+理由書提出」を徹底することが重要です。























