「なぜ在留資格が不許可になったのか?」よくある事例をお伝えします

2025-10-10

永住権や在留特別許可など在留資格の申請をした場合、認められるかどうかは法務局の審査によるので、審査の結果、申請が認められない場合もあります。

どのような場合に申請が認められないかの手がかりを得るには、実際に不許可になった事例を知ることが近道です。

永住権や在留特別許可は、他の在留資格よりも審査が総合的かつ厳格です。特に「素行が善良であること」「独立生計を営めること」「永住が日本社会に有益であること」など、形式的な条件だけでなく生活状況や社会的信用も重要視されます。

そこで今回は、在留資格の申請について実際に不許可になった事例を解説します。

永住権とは

外国人が永住権を取得すると、在留期間の制限を受けることなく日本に滞在できるようになります。

在留資格の中でも、永住権は一般に取得が難しいと言われています。主な理由は、必要書類が多いことや、許可を得るための条件が厳しいことなどです。

また、永住権の審査は「過去の在留履歴」「納税・社会保険の適正加入」「犯罪・交通違反歴」「配偶者や扶養家族の状況」などを含め、数年単位で総合的に評価されます。単に滞在期間が長いだけでは許可されません。

永住権が不許可になった事例

永住権の申請をした結果、不許可になった事例として、以下のものがあります。

・日本産の競走馬の生産や育成に貢献している者として申請があったが、日本に入国してから1年半という短期の滞在であることから、不許可となった。

・画家として多数の作品を製作し、美術館に寄贈しているとして申請があったが、不正な在留に関与するなど、在留状況が良好ではないことから、不許可となった。

・高校で教師をしながら通訳などのボランティア活動を行っているとして申請があったが、それらの活動のみをもって社会的貢献等に当たるとは言えないと判断され、不許可となった。

このように、社会貢献があっても「日本で安定的に生活できる基盤」がなければ不許可となることがあります。永住権申請では、単発的な善行よりも「継続的な納税・雇用・社会的信用の維持」が重視される点に注意が必要です。

在留特別許可とは

在留特別許可とは、不法入国や不法滞在をしている外国人に対し、日本に家族がいるなどの事情がある場合に、特別に在留を許可する制度です。

在留特別許可が不許可になった事例

在留特別許可が不許可になった実際の事例として、以下のものがあります。

・約7年3ヶ月日本に在留していたが、そのうち約4年は不法滞在であった。犯罪歴はなかったが、配偶者との同居・婚姻について疑いがあったことから、不許可となった。

在留を希望する理由として病気治療も挙げていたが、医師には本国でも治療可能と判断された。

・19年近く日本に滞在していたが、そのほとんどが不法滞在と判断されたもの。出頭申告した後、無免許運転や覚醒剤などの罪で有罪判決を受け、不許可となった。

・スナックを経営して約13年間日本に滞在していたが、うちほとんどが不法滞在と判断された。

スナック経営にあたって複数の不法残留者を雇用していたことから、不許可となった。

在留特別許可は「人道的配慮」が重視される制度ですが、犯罪・偽装婚・不法就労などがある場合は極めて不利になります。逆に、家族の定着性や子どもの教育継続など公益的事情が明確であれば、許可の可能性が高まります。

まとめ

永住権や在留特別許可の申請は、書類の整合性だけでなく、長期的な在留実績・社会貢献・生活基盤の安定が判断の中心になります。
不許可になった場合は、どの条件が不足していたかを明確にし、再申請前に改善策を講じることが大切です。
また、専門の行政書士や弁護士に相談することで、審査基準を満たすための戦略的な再申請が可能になります。


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