【行政書士が解説】同性婚に対する日本と海外との差とは?

日本では認められていない同性婚ですが、近年 海外では多くの国が認めるようになりました。ここでは、同性婚に対する日本と海外の違い、そして日本国籍または外国籍を持つ人が、日本において同性婚を希望する場合の注意点をご説明します。

日本における同性婚の実情

日本では、同性婚、つまり男性同士または女性同士の婚姻は、制度的に認められていません。なお、この場合の同性婚の「性」、つまり男性または女性というのは、あくまでも戸籍上の性別であって、いわゆる自分の性に違和感を持つ人を対象とはしていません。

「同性婚」を制度的に認めていないことは憲法違反ではないかとして、現在各地で訴訟が起きています。2021年3月17日の札幌地裁では、「同性婚を認めないのは違憲」とする初めての判断がされました。それでも、日本では「同性婚」に関する法整備は、手つかずのままです。

海外における同性婚の実情

海外に目を向けると、2001年にオランダが法律上の同性婚を初めて制度として確立しています。その後、ヨーロッパやアメリカ大陸、オセアニア等を中心に、同性婚を認める国・地域が続々と増えている。アジアでは、2019年5月に台湾が同性婚を初めて認めることとなりました。

日本国内で同性婚を希望する場合は?

現在のところ、日本において法律上の同性婚は認められていませんので、国籍を問わず、国内での同性婚はできないことになります。

また、同性婚を認めている外国人が、日本で同性婚を希望しても、いわゆる「配偶者ビザ」は取得てきないことになります。但し、現在 法務省は、外国人同士の同性婚については、「特定活動」の在留資格を認めています。この「特定活動」は、他の在留資格が取得できない場合に、日本に在留する外国人が生活できるようにするためのものです。

なお、外国人同士の同性婚であっても、一方の外国人が日本で在留資格を取得して生活している場合に限り、「特定活動」の取得が認められています。

例えば、カナダ国籍のAさんが、日本で永住の在留資格を取得している場合、同性婚のパートナーであるイギリス国籍のBさんは、「特定活動」の取得が可能です。しかし、AさんとBさんが共に短期滞在で日本にいる場合には、両者が「特定活動」を取得することはできません。あくまでも、2人のうち1人が、日本で長期滞在できるビザを取得している場合に限られるわけです。

日本国籍の人が同性婚を希望する場合は?

日本国籍を持つCさんが、同性婚を認めているX国籍のDさんと同性婚を希望する場合には、X国で婚姻届を提出する必要があります。但し、CさんとDさんが婚姻後に、日本で生活しようとしても、Dさんは「配偶者ビザ」を取得することはできません。

これは、先程ご説明したように、日本では同性婚を法的に認めていないことに根拠があります。また、先程の外国人同士の同性婚の例のように、Dさんが「特定活動」の在留資格を取得することもできません。なぜなら、日本ではCさんDさんの婚姻自体を認めていないからです。

まとめ

日本国籍を持つ人が、同性婚を認める国の国籍を持つ人と同性婚を希望する場合は、その国で手続きを行う必要があります。但し、その2人が日本で生活しようとしても、婚姻自体が認められていないため、「配偶者ビザ」を取得することはできません。