日本の永住ビザ(永住者)の基本
日本の永住ビザの審査は、これまで積んだ在留中の実績が重視されています。一定の基準をクリアすれば必ず認定されるわけではないため、審査のポイントを押さえて対応しなければなりません。定住や日本でのビジネスを考えるなら、本記事の基本事項は理解しておきたいところです。
永住ビザとは
日本の永住ビザとは、法律で定められる29種類の在留資格のうち「永住者」と呼ばれるものです。認定を得た外国人は、他の在留資格を持っている場合とは異なり、期間を定めず自由に活動できます。選挙権その他の日本国民を対象とする権利・サービス等はないものの、就労や取引での制限は一切受けません。
日本の永住ビザの審査基準
日本の永住ビザ(永住者)には3つの審査基準があり、少なくとも原則10年以内続けて在留していないと申請できません。在留中の状況に基づき、生計を立てられる程度の収入・資産があるか、素行に問題がないか、慎重に審査されます。
審査のポイント
永住ビザの審査で着目されるのか、以下の3点です。これらは法律やガイドラインで定められた要件に過ぎず、実際には1人ひとりの状況が丁寧に分析されています。
①素行が善良であるか
申請人には、交通ルール等の日本の法律を守れており、職場や自宅周辺でトラブルを起こさずに生活できていることが求められています。
②世帯として独立生計を営める資産または技能はあるか
長期安定的に生活できるだけの収入や貯蓄があるか、病気や技能不足を理由に失業するようなことはないか、将来性もチェックされます。
③永住が日本国の利益に合すると認められるか
合わせて、永住を認めることが日本国の利益に繋がることも重視されます。その判断は多角的であり、ガイドラインを要約すると、以下の視点で審査されます。
l 原則として引き続き10年以上在留している(うち5年は就労もしくは居住資格が必須
l 罰金刑や懲役刑、少年法による保護処分等を受けていない
l 現にある在留資格で最長期間を得ている(就労資格なら5年)
l 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがない
身元保証人の必要性
日本の永住ビザの申請では、身元保証人を立てなくてはなりません。債務や罰金を代わりに引き受けるわけではなく、申請人の生活で「困り事を聞いてアドバイスする」等のサポートする役割の人です。
身元保証人の資格は明確に指定されているわけではありませんが、個別の審査では、以下の要件を全て満たす必要があります。
l 日本人、もしくは永住ビザのある外国人であること
l 仕事があり、安定的な収入がある
l 税金の滞納がない
永住ビザの許可が下りるまで何か月かかる?
永住ビザの許可が下りるまでの時間は、申請から6か月程度です。標準的な期間は4か月とされていますが、申請人の状況と担当者の業務量によって伸びる傾向にあると言わざるを得ません。
永住ビザの取消し事由
たとえ永住権を得ても、依然として入管法の適用を受ける外国人です。下記のような第22条の4にある違反が見られると、ただちに永住許可が取り消されます。
転居・出国・在留カードの有効期限が近づいた時等、必要なタイミングで忘れず所定の手続きを進めましょう。
l 出入国・在留関係の手続きで、嘘や不正の手段を用いた場合
l 居住地変更の届出を退去後90日以内にしなかった場合
l 再入国許可を受けずに出国した場合
l 再入国許可を受けて出国したが、期限内に再入国しなかった場合
l 在留カードの更新等、義務付けられた手続きを行わなかった場合
l 他の外国人の不法入国や不法就労に関わった場合
l ①以外の退去強制事由に該当した場合(犯罪や在留カード偽造等)
おわりに│永住ビザ取得は日本国内からの支援が必須
日本の永住ビザは許可の基準がはっきりとしておらず、1人ひとりの状況に合わせて提出書類等を考える必要があります。また、先に永住者となった人や日本人の保証があることも、条件の1つとされています。
最も注意したいのは、帰化の手続きとは違い、申請してから許可が下りた後に至るまで、外国人として所定の義務を果たさなくてはならない点です。これから永住権取得を始める人は、なるべく手続きを支えてくれる代行サービス等の支援を得ましょう。