【疑問にお答えします】日本国籍の喪失とそのデメリットとは?

日本では、複数の国籍を持つことは法的に認められていません。従って、一定の年齢に到達するまでに、1つの国籍を選択する必要があります。この場合に、日本以外の国籍を選択し、日本国籍を失えば、どのようなデメリットがあるのでしょうか?

日本国籍を喪失する場合とは?

日本では、複数の国籍を持つこと、つまり二重国籍が認められていません。

18歳までに2つ以上の国籍を持った場合は、成人に達してから2年以内、つまり20歳になるまでに、国籍を1つだけ選択しなければなりません。また、18歳以降に2つ以上の国籍を持った場合には、それから2年以内に国籍を1つだけ選択しなければなりません。

日本国籍を喪失するパターンは3つあります。

1つ目は、日本国籍を持つ人、または未成年の親が、自分の意思で外国籍を取得する場合です。例えば、外国籍への帰化、外国籍の取得申請、一度喪失した外国籍の回復です。

2つ目は、出生した子どもについて、3ヶ月以内に日本国籍を持つ権利を有する「出生届」が提出されなかった場合です。日本では、生まれた子どもに日本国籍を持ったままにしたいという意思表示があれば、日本国籍を持つことができます。この意思表示が、「出生届」です。

3つ目は、成人した後に二重国籍になって2年経過した場合です。先程説明したとおり、成人後2年以内に、国籍を1つ選択しなければなりません。しかしその手続きを怠って、日本人が外国籍を取得して2年経過した時、または外国人が日本国籍を取得して2年経過した時、あるいは日本国籍を含む重国籍の子どもが成人後2年経過した時には、日本国籍を失うことになります。

日本国籍喪失のデメリット

日本国籍を失うデメリットは、4つあります。

1つ目は、信用度が高い日本のパスポートを持つことができないことです。日本のパスポートは国際的に信用度が高く、海外旅行をする際には、ビザ不要の国が多くあります。しかし、日本国籍を喪失することで、当然のことながら日本のパスポートを持つことができなくなりますから、その恩恵を受けることもできなくなります。

2つ目は、日本国民としての権利をなくすことです。例えば、選挙権や年金加入の権利を喪失することになります。但し、年金加入はできなくなっても、今まで年金保険料を10年以上支払っていた場合には、日本国籍を喪失した後も受け取る権利はあります。

3つ目は、日本国内での契約が厳しくなることです。住宅・車のローン、学校の入学、就職など、難しい場面が増えてくることが予想されます。

4つ目は、老後に日本へ帰国することが難しい点です。外国籍を取得して、そのまま外国で生活するのであれば、特に問題ありません。しかし、老後は日本で暮らそうと考えている場合には、高いハードルが待っています。日本で何か法的な手続きをしようと思っても、本人が高齢になっていため、親や兄弟を頼れるケースは少なくなります。また、外国にいて、日本に住む手続きを進めようとしても、代理人を探したり、あるいは時間や金銭的負担もかかったりすることになります。

まとめ

日本国籍を失っても、取得した外国籍の国に永住しようという場合、特にデメリットはありません。しかし、外国籍を選択した上で、日本に住み続ける場合、または将来的に日本に帰る場合には大きなデメリットがあります。