国籍を変更したら年金はどうなるのか?
現在20歳から60歳の国民は、国民年金に加入する必要があります。そして、加入期間に応じて、基本的に65歳から年金が支給されます。これは、日本に在住する外国籍の人にも適用される制度です。但し、日本国籍の人であっても海外に移住した場合には、一般的に脱退することになります。
国民年金は「日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人」が対象となるため、在留資格の種類を問わず、日本に住民登録をしている限り加入義務が発生します。留学生や技能実習生なども対象となる点に注意が必要です。
年金と国籍
まず日本の年金の仕組みについてですが、日本に住所がある20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入しなければなりません。この場合、国籍は関係なく、たとえ外国籍であっても、日本に住民登録をしている人は、加入の対象者です。
外国籍の方は、在留カードまたは特別永住者証明書、印鑑、基礎年金番号通知書若しくは年金手帳(以前加入したことがある方)をご持参し、住所地の市区町村役場で加入の手続きを行います。また、厚生年金に関する手続きは、会社の総務課等がまとめて行います。
永住者・定住者・日本人の配偶者等といった在留資格を持つ外国人は、就労していなくても自営業や無職であれば国民年金に加入する必要があります。一方、会社員の場合は自動的に厚生年金に加入することになります。
国民年金の支給は、原則65歳からですが、10年以上年金保険料を支払うことが、受給資格の条件です。また、厚生年金も原則65歳から支給されます。
受給資格期間は、平成29年(2017年)8月の法改正により「25年」から「10年」に短縮されました。これにより、短期滞在後に帰国する外国人でも、納付実績があれば将来的に年金を受け取れる可能性があります。
外国籍に変更した場合の年金
日本国籍だった人が、国際結婚等で外国籍に変更した場合、年金はどうなるのでしょうか?
先程もご説明したように、日本に住民登録をしている場合、日本国籍であっても、また外国籍であっても、国民年金には加入しなければありません。従って、外国籍の人と国際結婚して外国籍になったとしても、日本に在住する限り、引き続き国民年金に加入するということになります。
国籍の変更自体は年金加入資格に影響しませんが、「在留資格の更新ができず日本から出国することになった場合」には資格を喪失します。そのため、国籍変更後も日本に住み続ける場合は、必ず住民登録を継続する必要があります。
海外へ移住した場合の年金
日本国籍を持つ人が、海外に移住した場合、年金はどうなるのでしょうか?
先程もご説明したように、国籍に関係なく、日本に住民登録している20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入しなければなりません。しかし、海外に移住するということは、「日本に住民登録している」という条件から外れることになりますので、国民年金から脱退することになります。
海外転出届を提出した時点で「国内住所を有しない」とみなされ、国民年金の被保険者資格を喪失します。勤務先の厚生年金にも加入できなくなるため、脱退か任意継続かの判断が必要になります。
この場合、以下の条件を満たせば、脱退一時金を受け取ることができます。
・外国籍に変更し、日本国内に住所がない。
・公的年金保険の被保険者ではない。
・保険料納付期間が、6ヶ月以上ある。
・老齢年金の受給資格期間を満たしている。
・障害基礎年金等の受給資格を有したことがない。
・公的年金制度の被保険者資格を喪失してから、2年以上経過していない。
この脱退一時金は、日本を離れた外国人に限定される制度です。日本国籍のまま海外へ移住した場合は対象外となります。支給申請は「年金事務所または日本年金機構海外サービス部門」宛に行います。
なお、海外に移住する場合でも、そのまま日本国籍を有するのであれば、脱退することなく、任意で国民年金に加入し続けるという方法もあります。
この場合、保険料を支払い続けることで受給要件を満たせば、納付期間に応じた老齢年金を受け取ることができます。また、海外に住んでいる間に、配偶者が死亡したり、病気やけが等で障害が残ったりした場合には、遺族年金や障害年金が支給されます。日本にいる間に納付した保険料を無駄にしたくない場合に、有効な方法だと言えます。
任意加入を行う場合は、日本年金機構の「国民年金海外任意加入制度」を通じて申請します。居住国が社会保障協定締結国である場合は、二重加入を防ぐため協定内容を確認することも重要です。
まとめ
年金は、老後の生活を支えるための大切な制度です。また、日本に住所を置いている人は、国籍に関係なく加入しなければなりません。しかし、海外に移住する場合には、基本的に脱退することになりますが、継続して加入することも可能です。
日本に住んでいる限り、国籍を問わず年金制度に守られています。海外移住を検討している場合は、「脱退一時金」や「任意加入」など自分に合った方法を選び、将来の年金受給資格を確保することが大切です。























