日本の在留資格一覧表│就労ビザにはどんな種類がある?

2022-05-28

日本の在留資格は計29種類(2022年4月現在)に及び、うち23種類が就労を認められる資格にあたります。該当性の判断には厳格な基準があるため、永住・帰化の予定を含む滞在計画に合わせ、慎重に判断しましょう。

就労できる在留資格

就労できる在留資格には24種類あり、従事する業種と業務内容によって該当性を判断します。法律上の分類は、大きく下記の4区分です。

① 外交・教授等(入管法別表1の1)
② 上陸許可基準のある資格(入管法別表1の2)
③ 居住を前提とする資格(入管法別表第2)
④ 個別の活動内容に応じて許可される資格(特定活動・入管法別表第1の5)

以降では、まず該当性判断がしやすい①~③の計23種類を紹介し、就労系資格のポイントで④特定活動に触れます。

入管法別表1の1の資格

出入国管理及び難民認定法(入管法)の別表1の1には、下記6種類の在留資格が挙げられています。一部は別表1の2の上陸許可基準がある在留資格と見分けがつきにくく、報酬の有無や勤務先・業務内容から慎重に判断しなければなりません。

在留資格該当者在留期間
外交外国政府の大使、公使等とその家族外交活動の期間
公用外国政府の公務従事者とその家族5年、3年、1年、3か月、30日または15日
教授大学教授等5年、3年、1年または3か月
芸術画家、作曲家、彫刻家等5年、3年、1年または3か月
宗教外国の宗教団体から派遣された聖職者等5年、3年、1年または3か月
報道外国の報道記者、カメラマン等5年、3年、1年または3か月

入管法別表1の2の資格

入管法別表1の2にあるのが、上陸許可基準のある在留資格です。一般的な社内事務を手広くカバーできる「技術・人文知識・国際業務」は、最も許可された人の多い資格です。

在留資格該当者在留期間
高度専門職(1号~2号)高度な学術研究活動、専門・技術活動、経営・管理活動の従事者1号は5年、2号は無期限
経営・管理会社経営者、管理者等5年,3年,1年,6月,4か月または3か月
法律・会計業務弁護士、公認会計士等5年、3年、1年または3か月
医療医師、看護師等5年、3年、1年または3か月
研究官民の機関の研究者5年、3年、1年または3か月
教育高等学校や中学校の語学教師等5年、3年、1年または3か
技術・人文知識・国際業務各種事務職、通訳、デザイナー、企業の語学講師等5年、3年、1年または3か月
企業内転勤外国所在の事務所からの転勤者5年、3年、1年または3月
介護介護福祉士5年、3年、1年または3月
興行歌手、俳優、プロ選手等3年、1年、6月、3月または15日
技能外国料理の調理師、スポーツの指導者等5年、3年、1年または3月
特定技能(1号~2号)技能・日本語能力を有し、指定された14の産業分野に従事する者1号:最長1年、通算5年まで2号:最長3年、通算期間の制限なし
技能実習(1号~3号)一定の計画に基づき、実務を伴う研修を受ける者法務大臣が個々に指定する期間(1号は最長1年、2号は最長2年)

入管法別表第2の在留資格【居住資格】

日本滞在に在留資格を要する人でも、下記のような身分や地位の人には、活動内容の制限がありません。自由に働き、収入を得られます。

在留資格該当者在留期間
永住者法務大臣が永住を認める者無期限
日本人の配偶者等日本人の配偶者、特別養子、または日本人の子として出生した者5年、3年、1年または6か月
永住者の配偶者等永住者等の配偶者、永住者等の子として日本国内で出生し引き続き在留する者5年、3年、1年または6か月
定住者法務大臣が一定の在留期間を指定して居住を認める者5年、3年、1年または6か月もしくは、法務大臣が5年を超えない範囲で個別に指定する期間

就労系資格の申請・変更で知っておきたいこと

就労先が決まっている状態で在留資格の申請・変更を始める時は、スケジュール通りに手続きを終えられるよう気を付けたいところです。企業や研究機関で専門性の高い仕事に就く時は、積極的に「高度人材ポイント制」を利用しましょう。
より詳しく就労系資格の要点を押さえていくと、次のようになります。

在留資格の区別【就労ビザの場合】

在留資格には種類ごとに厳格な審査基準があります。一見どちらでも構わないような2つの資格がある場合、就労実態から適切な資格を見極めなくてはなりません。

【例】語学教師として働く場合
民間の語学教室で働く場合→「技術・人文知識・国際業務」
商社等の社員に教える場合→「技術・人文知識・国際業務」
大学や高等専門学校で教える場合→「教授」
小学校・中学校・高校等で教える場合→「教育」

【例】日本国内で芸術・文化・スポーツ等の分野で活動する場合
収入を得て活動する場合→「芸術」
無報酬で活動する場合→「文化活動」※
ライブやコンサートに出演する場合→「興行」
大学等で指導員として働く場合→「教授」

※収入を得る活動は認められていません。

高度人材ポイント制を利用するメリット

学術研究やIT技術職等、専門性の高い職には「高度人材ポイント制」があります。学歴・職歴・年収・年齢等の評価基準に沿って点数計算が行われ、一定以上のポイントを獲得すると在留資格「高度専門職」で在留できる制度です。
資格は1号と2号の2つに分類されており、他の就労資格には例のない優遇を受けられます。

▼高度専門職の優遇内容(メリット)
l 在留期間が「5年」もしくは「無期限」になる
l 配偶者の就労活動が認められる
l 家族や家事使用人を帯同できる
l 入国・在留手続きの優先処理がある
l 永住許可要件が緩和され、短い在留歴でも申請できるようになる

在留資格「特定活動」とは

他の就労資格のどれにも該当しなければ、在留資格「特定活動」で対応できます。
法律で定められる活動内容は、指定機関もしくは自ら経営する事業で研究指導等を行う「特定研究活動」に、研究指導等の内容をIT分野に絞った「特定情報処理活動」が認められています。以上の活動を予定して別に申請すると、家族滞在の他、配偶者や子供が同様の活動を行うことも可能です。

特定活動に該当する在留の理由には、他に法務大臣が告示で指定する「告示特定活動」と、主に人道上の理由から個別に許可される「告示外活動」等があります。

▼告示特定活動の一例
l 家事使用人(外交官や高度専門職等が使用者となる場合)
l ワーキングホリデー、インターンシップ
l 建設業・製造業の従事者

▼告示外特定活動の一例
l 留学生の就職活動
l 在留外国人等が国外から親を呼び寄せ、継続的に扶養する場合
l 家族滞在ビザを持つ子・配偶者等が、日本で就職する場合

就労できない在留資格

就労できない在留資格の場合、アルバイトやパート等で収入を得るには、別に「資格外活動許可」が必要です。日本で滞在するうちに働きたくなったら、就労できる在留資格に変更する必要があります。当てはまるのは、以下で紹介する資格です。

入管法別表1の3~4の資格

就労できない在留資格として、まず入管法別表1の3~4が挙げられます。在留期間の最長年数も短く、継続して日本に滞在したい場合は、変更申請を検討したいところです。

在留資格該当者在留期間
文化活動収入を伴わない芸術活動を行う者、日本文化の研究者等3年、1年、6か月または3か月
短期滞在観光客、会議参加者等90日、30日または15日以内の日を単位とする期間
留学大学等の学生法務大臣が個々に指定する期間(4年3か月を超えない範囲)
研修国内企業等で研修を受ける者法務大臣が個々に指定する期間(4年3か月を超えない範囲)
家族滞在ここまで紹介した在留資格(特定技能1号と技能実習を除く)を持つ外国人の家族法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)

在留資格「特定活動」で就労不可と指定されたもの

在留資格「特定活動」には、就労できるものと出来ないものがあります。就職活動のため留学ビザから変更した場合等は、もしアルバイトをしたくなった場合、資格外活動許可を得なくてはなりません。
指定書に書かれている活動内容をよく読み、日本で認められている行動をよく理解しておきましょう。

永住・帰化の申請について

永住権取得や帰化(日本国籍の取得)は、実績から見て日本で安定した生活を営めると判断される人のみ認められています。そのため、どんなに日本で暮らした期間が長くても、申請できない場合があると考えざるを得ません。

永住許可または帰化の申請が出来る在留資格

永住・帰化の申請が出来るのは、基本的に就労系資格か「定住者」や「特別永住者」です。
永住許可申請については、在留実績が短くても良いとする特例があります。

永住許可・帰化の申請共に難しい在留資格

反対に、持っている在留資格が非就労系のもの(留学ビザ等)であれば、永住権や日本国籍の取得は難しいと考えましょう。いったん就労系の資格に切り替え、納税義務とその他の法律を守って在留実績を積まなくてはなりません。

おわりに│在留資格の該当性は慎重な判断を

日本で滞在する時の在留資格は、活動内容に応じて厳格な該当性判断がなされます。その基準を外国語で知るのは難しく、国内の支援者や専門家の助けが必要です。

▼在留資格の該当性で理解しておきたいこと
l 活動内容が同じでも、収入の有無等で該当性判断が変わる
l 家族滞在ビザ・留学ビザ等では働けない(資格外活動許可が必要)
l 永住許可または帰化許可申請ができるのは、基本的に就労系資格や定住者・特別永住者のみ


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