【行政書士が解説】同性婚に対する日本と海外との差とは?

2025-10-23

日本では認められていない同性婚ですが、近年 海外では多くの国が認めるようになりました。ここでは、同性婚に対する日本と海外の違い、そして日本国籍または外国籍を持つ人が、日本において同性婚を希望する場合の注意点をご説明します。

同性婚を法的に認めていないものの、日本では「性的指向・性自認(SOGI)」の尊重が行政指針として広がっており、自治体レベルではパートナーシップ制度の導入が進んでいます。2025年時点で約400自治体が実施しています。

日本における同性婚の実情

日本では、同性婚、つまり男性同士または女性同士の婚姻は、制度的に認められていません。なお、この場合の同性婚の「性」、つまり男性または女性というのは、あくまでも戸籍上の性別であって、いわゆる自分の性に違和感を持つ人を対象とはしていません。

「同性婚」を制度的に認めていないことは憲法違反ではないかとして、現在各地で訴訟が起きています。2021年3月17日の札幌地裁では、「同性婚を認めないのは違憲」とする初めての判断がされました。それでも、日本では「同性婚」に関する法整備は、手つかずのままです。

他方で、東京地裁・名古屋地裁・福岡地裁などでは「違憲状態」との判断が続き、立法不作為が社会的課題として指摘されています。法務省も「同性カップルの在留資格に関する柔軟な運用」を通知で示しています。

海外における同性婚の実情

海外に目を向けると、2001年にオランダが法律上の同性婚を初めて制度として確立しています。その後、ヨーロッパやアメリカ大陸、オセアニア等を中心に、同性婚を認める国・地域が続々と増えている。アジアでは、2019年5月に台湾が同性婚を初めて認めることとなりました。

台湾の制度は「同性婚専用法」として設けられ、戸籍上の同性同士でも正式な結婚登記が可能です。日本人と台湾人の同性カップルも、台湾法に基づき現地で婚姻が成立しますが、日本ではその効力は認められません。

日本国内で同性婚を希望する場合は?

現在のところ、日本において法律上の同性婚は認められていませんので、国籍を問わず、国内での同性婚はできないことになります。

また、同性婚を認めている外国人が、日本で同性婚を希望しても、いわゆる「配偶者ビザ」は取得てきないことになります。但し、現在 法務省は、外国人同士の同性婚については、「特定活動」の在留資格を認めています。この「特定活動」は、他の在留資格が取得できない場合に、日本に在留する外国人が生活できるようにするためのものです。

なお、外国人同士の同性婚であっても、一方の外国人が日本で在留資格を取得して生活している場合に限り、「特定活動」の取得が認められています。

この「特定活動(同性パートナー)」は、2019年に法務省が示した運用通達により導入されました。申請時には婚姻証明書の提出が求められ、実質的な夫婦関係と同等の生活実態があることを証明する必要があります。
滞在期限は通常1年または3年で、更新には同居証明や生活費の証明などが必要です。

例えば、カナダ国籍のAさんが、日本で永住の在留資格を取得している場合、同性婚のパートナーであるイギリス国籍のBさんは、「特定活動」の取得が可能です。しかし、AさんとBさんが共に短期滞在で日本にいる場合には、両者が「特定活動」を取得することはできません。あくまでも、2人のうち1人が、日本で長期滞在できるビザを取得している場合に限られるわけです。

「短期滞在ビザ」で入国した同性パートナーが、日本国内で「特定活動」へ変更申請を行うことも可能ですが、審査は厳格で、実態の確認のために追加資料を求められることが多いです。

日本国籍の人が同性婚を希望する場合は?

日本国籍を持つCさんが、同性婚を認めているX国籍のDさんと同性婚を希望する場合には、X国で婚姻届を提出する必要があります。但し、CさんとDさんが婚姻後に、日本で生活しようとしても、Dさんは「配偶者ビザ」を取得することはできません。

これは、先程ご説明したように、日本では同性婚を法的に認めていないことに根拠があります。また、先程の外国人同士の同性婚の例のように、Dさんが「特定活動」の在留資格を取得することもできません。なぜなら、日本ではCさんDさんの婚姻自体を認めていないからです。

ただし一部の自治体では、同性カップルに「パートナーシップ証明書」を発行しており、行政サービスや住宅契約で配慮が受けられる場合があります。東京・大阪・福岡など主要都市では、外国籍パートナーも対象となっています。
この証明書は法的な婚姻ではありませんが、実務上「生活共同体」として扱われ、病院での面会や賃貸契約などで有効に機能しています。

まとめ

日本国籍を持つ人が、同性婚を認める国の国籍を持つ人と同性婚を希望する場合は、その国で手続きを行う必要があります。但し、その2人が日本で生活しようとしても、婚姻自体が認められていないため、「配偶者ビザ」を取得することはできません。

同性婚に関する法整備は現在も議論中で、法務省や国会では「同性パートナーに関する在留資格の拡充」や「婚姻制度の平等化」について検討が進められています。現行法では「特定活動」が唯一の例外的在留資格となります。


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